本院 医療法人社団 健生会 産婦人科·乳腺ドック MARI WOMEN' S CLINIC まりウィメンズクリニック
Instagram
TOPへ

子宮・卵巣の病気

子宮・卵巣の病気にお悩みの方へ

子宮・卵巣の病気

「月経痛がつらい」「下腹部が張る」「年齢のせいかなと我慢している」
…そんな症状は、実は子宮や卵巣の病気が隠れているサインかもしれません。このページでは、婦人科でよく診る子宮・卵巣の病気と、当院での検査・治療について詳しくご紹介します。

当院では、婦人科に慣れていない方や、内診に不安を感じる方にも配慮しながら、女性医師が丁寧にお話を伺い、必要に応じた検査や治療法をご提案しています。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

子宮筋腫

生理が重くなった、経血量が増えた…そんな変化がある場合、子宮筋腫が関係しているかもしれません。

子宮筋腫とは?

30〜40代女性に多い良性腫瘍

子宮・卵巣の病気「子宮筋腫」子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)は、子宮の壁にできる良性の腫瘍で、30〜40代の女性に多くみられる病気です。成人女性の2〜4割程度にみられるとされており、決して珍しいものではありません。

多くの場合、女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受けて少しずつ大きくなるため、閉経後には自然に縮小するケースもあります。筋腫ができる場所によって、「粘膜下筋腫」「筋層内筋腫」「漿膜下筋腫」などに分類され、症状の出方にも違いがあります。

当院でも、「昔から生理が重いから」と我慢していた方が検査で筋腫を指摘されることがよくあります。症状が乏しいケースもありますが、放置すると日常生活や妊娠に影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。

子宮筋腫の主な症状

  • 月経量が多い(過多月経)
  • レバー状の血の塊が出る
  • 強い月経痛
  • 貧血による動悸・息切れ・めまい
  • 頻尿・便秘・腰痛(筋腫の圧迫による)
  • 不妊・流産のリスク(子宮内腔の変形)

子宮筋腫の検査方法

以下の検査を組み合わせて、正確な診断を行います。

問診
症状の経過や月経の様子、妊娠の希望などを丁寧に伺います
超音波検査(エコー)
腹部または腟から、子宮や卵巣の状態を画像で確認
内診
子宮の大きさやしこりの有無を触診で確認
MRI検査
必要に応じて、筋腫の位置や大きさをより詳しく評価します

治療の選択肢について

子宮筋腫の治療は、症状の程度・年齢・筋腫の大きさ・妊娠希望の有無などに応じて検討します。症状が軽い場合は経過観察のみで済むケースもあります。

薬物療法

GnRHアゴニスト/アンタゴニスト
女性ホルモンを一時的に抑え、筋腫の縮小を目指します
その他
鎮痛剤、止血剤、漢方薬、鉄剤、ホルモン剤などを症状に応じて併用します

手術療法

子宮筋腫核出術
筋腫のみを摘出し、子宮を温存(妊娠希望のある方に)。
子宮全摘術
子宮ごと摘出(症状が強い方や妊娠希望がない方に)。

当院では、必要に応じて連携する専門医療機関への紹介も行っております。

子宮内膜症

子宮内膜症とは?

強い生理痛の正体かもしれません。

子宮・卵巣の病気「子宮内膜症」

子宮内膜症は、本来子宮の内側にあるはずの「子宮内膜に似た組織」が、卵巣や腹膜、卵管、腸など子宮外にできてしまう病気です。生理のたびに出血しますが、体外に排出されないため、炎症や癒着を引き起こします。

特に卵巣にできるタイプは「チョコレート嚢胞」と呼ばれ、内容物が古い血液であるためこの名がついています。まれに卵巣がんに進行する可能性もあるため、定期的な経過観察が大切です。

また子宮の筋層内にできるタイプは「子宮腺筋症」と呼ばれ、子宮筋肉の肥大を引き起こし、月経痛や過多月経の原因となります。

どんな人に起こりやすいの?

月経がある女性の約10人に1人にみられる病気で、20〜40代の女性に特に多いとされています。
ただし、10代後半で発症することもあり、「若いから大丈夫」と安心はできません。

子宮内膜症の主な症状

  • 強くなる月経痛(年々悪化する傾向)
  • 月経以外でも続く下腹部痛・腰痛
  • 性交時の痛み(性交痛)
  • 排便時の骨盤や肛門への痛み

子宮内膜症の検査方法

問診

月経周期・痛みの持続時間・妊娠歴などを詳しく伺います。

超音波検査(エコー)

腹部または腟から、卵巣や子宮の状態を確認。

内診

圧痛や腫れを確認します。

血液検査

炎症の指標として活用されます。

MRI検査

癒着の有無や病変の広がりを詳細に把握します。

治療の選択肢について

子宮内膜症は進行性の病気であり、軽度であっても早期の治療が望ましいとされています。
治療は年齢・症状・妊娠の希望などに応じて選択されます。

薬物療法

黄体ホルモン製剤
子宮内膜の増殖を抑制し、病変の縮小や症状の緩和につながります。
E・P配合剤(低用量ピル)
  • 排卵を抑え、内膜の増殖を防ぎます。
GnRHアゴニスト・アンタゴニスト製剤
  • 一時的にエストロゲンを低下させることで病変を縮小し症状を緩和させます。

鎮痛薬・鉄剤・漢方薬などを併用する場合もあります。

手術療法

腹腔鏡手術による病変除去が基本です。 再発リスクや妊娠希望の有無も考慮し、専門医と連携して治療方針を検討します。

卵巣腫瘍・卵巣嚢腫

卵巣嚢腫の主な種類と特徴

卵巣嚢腫は、卵巣に液体や脂肪がたまってできる腫瘍で、大半が良性です。
以下の4つが代表的なタイプです。

漿液性嚢腫

透明な液体(漿液)がたまり、年齢を問わず発症します。

粘液性嚢腫

ゼラチン状の粘液がたまり、閉経後の女性に多いです。大きくなる傾向があります。

皮様性嚢腫

若い年代でも見つかることがあり、脂肪、皮膚や髪の毛などの成分を含む腫瘍です。

チョコレート嚢腫

子宮内膜症の一種で、卵巣内で生理の出血がたまります。痛みや不妊の原因となったり、まれ(約0.3%)ですががんリスクのある病変です。

卵巣嚢腫の主な症状

  • 下腹部の張りや圧迫感
  • 腹痛・腰痛
  • 頻尿や便秘(腫瘍による圧迫)
  • しこりを触れることがある
  • 茎捻転(卵巣のねじれ)による激痛※緊急手術が必要なケースも
※小さいものは無症状のことが多く、健診で偶然見つかることも多いです。

卵巣がんの可能性も

卵巣腫瘍のなかには、悪性の卵巣がんが含まれることもあります。初期は症状に乏しく、腹部の違和感や膨満感が出る頃には進行していることも。
当院では、悪性が疑われる場合は速やかに専門医療機関と連携し、適切な検査・治療へとつなげています。

診断に用いる検査

問診・内診
症状や触診所見を確認
超音波検査(エコー)
卵巣の大きさや腫瘍の構造を確認
CT・MRI
病変の広がりや性状を詳しく評価
腫瘍マーカー(CA-125など) 悪性の可能性を探る血液検査

確定診断には、手術で採取した組織の病理検査が必要です。

治療方法について

治療方針は、腫瘍の種類・大きさ・年齢・妊娠希望の有無などを総合的に判断して決定します。

良性の卵巣嚢腫の場合

チョコレート嚢腫
  • ホルモン療法で縮小を試みる場合もありますが、症状や大きさによっては手術が選択されることもあります。
その他の嚢腫(漿液性・粘液性・皮様性)
  • 薬での縮小は難しく、症状や大きさによって治療が必要となる場合は手術となります(小さいものは経過観察が可能です)。

手術方法

  •  腹腔鏡手術または開腹手術での摘出
  • 妊娠を希望される方には、腫瘍のみを摘出する方法を優先
  • 卵巣を片側摘出しても、妊娠は可能で、ホルモンの分泌にも影響しないとされています。

 卵巣がん(悪性腫瘍)の場合

  • 子宮全摘・両側付属器摘出・大網切除などの根治的手術
  • 術後は化学療法(抗がん剤)が基本

子宮下垂・子宮脱

骨盤底のゆるみが引き起こす女性特有のトラブル

子宮下垂(しきゅうかすい)・子宮脱(しきゅうだつ)は、子宮を支えている骨盤底筋が緩むことで、子宮が膣の中や外に下がってくる状態です。
加齢・出産・閉経などの影響により発症しやすく、特に出産経験のある40代以降の女性に多くみられます。

症状が軽いうちは違和感程度のこともありますが、進行すると膣の外に子宮が出てきてしまうこともあり、日常生活に支障をきたすことがあります。

当院でも、「なんとなく下がる感じがする」「尿もれが増えた」といったお悩みで受診され、検査の結果、子宮下垂や子宮脱が判明するケースが少なくありません。

子宮下垂・子宮脱の主な症状

  •  膣の中に「何かが下がってきている」ような違和感
  • 歩行時や排便時の不快感・圧迫感
  • 尿もれや排尿困難(膀胱や尿道が圧迫されるため)
  • 便秘・排便困難(直腸が圧迫されることによる)
  • 膣の外にピンポン玉のようなものが出てきた
  • 性交痛、膣の乾燥感や炎症

症状は日によって強さが異なり、「夕方に悪化する」「重い物を持つと悪化する」と感じる方もいらっしゃいます。

診断に用いる検査

当院では、以下のような検査を行い、下垂や脱の程度、他の骨盤臓器への影響の有無を確認します。

問診

症状の内容・発症時期・出産歴・排尿・排便状態などを詳しく伺います。

内診(診察)
膣鏡を使用し、子宮の位置や下垂の程度を評価します。
超音波検査
膀胱や直腸の状態、子宮の位置などを確認します。
必要に応じて尿検査や残尿測定も行います。

治療の選択肢について

治療は、症状の程度・年齢・出産経験・妊娠希望の有無などに応じて選択されます。

保存的治療(手術以外の方法)

症状が比較的軽い場合には、日常生活の中で取り組める保存的な方法で経過をみることも可能です。

骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)
骨盤底の筋肉を鍛えることで、軽度の下垂や再発予防に役立ちます。ご自宅でも続けやすい方法です。
ペッサリー療法
膣内にリング状の器具を挿入し、子宮の位置を支える方法です。外来で挿入・定期的に交換を行います。手術に抵抗がある方やご高齢の方にも適した方法です。
患者さんの症状や生活スタイルにあわせて、無理のない治療方法を一緒に考えていきます。

手術が必要な場合の対応について

症状が進行している場合や、保存的治療では十分な改善が見られない場合には、手術を検討することもあります。当院では、必要に応じて手術対応可能な医療機関をご紹介し、治療までの流れを丁寧にサポートいたします。「このまま様子を見ていてよいのか」「手術以外の方法があるのか」といったご相談だけでも構いません。どうぞお気軽にお声がけください。